平田オリザ著「新しい広場を作る―市民芸術概論綱要」を読む。
これオススメなんで読んで下さい。第1章〜第3章は特にお母さん方に読んでいただきたい。
経済格差も大事なことだけど、これからの時代にもっと重要視されるであろう文化格差について書かれている点が興味深いのです。
本書によると文化資本とは
- 客体化された形態の文化資本(書籍、会が、骨董品等の客体かした形で存在する文化的資産)
- 制度化された形態の文化資本(学歴、資格、免許等、制度が保証する形態の文化資本)
- 身体化された形態の文化資本(礼儀作法、慣習、言葉使い、センス、美的性向など)
ということだ。簡単に言えば
- お金で買える文化
- 努力で手に入る文化
- 子供の頃から触れてきた文化
ということになる。この3番の格差が激しくなるということが問題なんです。
しかも、この身体化された文化資本は学ぼうとすればするほど学べないというパラドックスを持っている。
努力するのが負けというなんともどうしようもない話になるそうだ。
身体化された文化資本とは、自然に学ぶものだという。
だって、そうだよね。習慣と同じだから。どれだけ文化に触れてきたのかということ。
これは心の豊かさと密接につながることです。
僕は自分のことを振り返ってみたのです。自分の芸術体験のことを。
幼稚園の時から小4くらいまでかな。お絵描き教室に通っていたな。
その時の先生に「ボカシがいんだよね」と褒められたのを今でも覚えています。
小学校とか中学校で市内のコンクールに選ばれるくらい才能はありました(笑)
で、ハッと思い出したのは、ピカソなんです。
母親がどっかの美術館に連れて行ってくれたんだと思うんだけど、
彼の描いた横顔なのか正面から見た顔なのかよくわからない絵がありますよね。
それを見て「この人はきっと頭がおかしい」と思うくらいに衝撃を受けたのです。
だって、小学校の頃の絵って、みんな写実的ではないでしょ。大人になってから見ると変なんです。
でも、それは普通のこととして子供の頃は、受け入れていたんだけど、ピカソはその子供心にも「変んだ!」というインパクトを残したのです。
しかも画集まで買ってもらったりしたくらいなんだから、子供ながらに感じる物があったのでしょうね。
僕の芸術の原体験はここなんですよ。
もし、あの時にピカソの絵に出会わなかったら・・・
もっとまともな人生を歩んでいたかもしれない(笑)
それで岡本太郎は好きだし、自分でラクガキする時もほとんど人の顔出し、人の顔にむちゃくちゃ興味あるし、人相は読むし、微表情も興味あるし、顔が僕にとってもテーマになってますね。
子供の頃に「なんだ!これは!!」と体験したことは、今でも確実に根付いています。
ポジティブな影響はそのままポジティブに影響を受け取り、ネガティブな影響は自分に必要な形に変容させて、自分を形作る栄養にしたいものです。
あなたの子供の頃の芸術体験はなんですか?
振り返ると何か気づきがあるかもしれません。
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