地域の物語ワークショップ本番当日。
僕たちが3ヶ月かけて作ってきた作品は、劇場で舞台芸術として発表します。
最近はTEDなどがEテレで放送されているくらいにプレゼンテーションに注目がされています。
この地域の物語ワークショップも自分たちが感じたり、考えたり、取材したり、観察したり、体験したり、テーマに関していろいろやったことを、作品として作り上げ舞台で表現をします。まさにスーパープレゼンテーションです。
ただの学習発表会という形ではなく、芸術作品までに高めて舞台に乗せるという体験が学びを深めることになります。
それが地域の物語ワークショップ。
今年のテーマは「結婚」。
その中で僕たちCコースのテーマは「ふたり」。
進行役とアシスタント、学芸スタッフ、参加者らで作品を作り上げました。
みんながそれぞれがそれぞれの専門家です。
みんなの個性や経験を分かち合いながら作品が立ち上がっていく様は見事でした。
平日の昼間に集まれる個性豊かな人たちをよくぞまとめてくれました。
芸術作品を作る過程は面白く、個人の経験が個人から離れていき仲間たちで共有され仲間たちのものになる。
その仲間たちがその経験を演じたりすることで、仲間の経験からさえも離れていく。
その抽象化というか客観化というか、仲間からは慣れていくことで、普遍性を持ち作品として人様に魅せられるレベルに上がっていく。
個人の経験が作品として立ち上がってくると何か力がそこに宿るんです。
ステキな経験でした。
こんなウォーミングアップも今日で最後です。
終わりがあるから始まりがある。愛おしい時間です。
今日はスケジュールが朝から夜までびっしりと詰まっています。
ウォーミングアップ後、着替えてゲネプロ。
ゲネプロにもお客さんが招待されていて半分近く人が埋まっていました。
僕自身は、もうゲネプロで踊るのが楽しくて楽しくて。
舞台の上でダンスシーンはずっと笑っていました。
ゲネプロ後はみんなでご飯を食べながら振り返り。学生時代の合宿を思い出すような楽しい時間。
進行役のたっちゃんとるいるいからゲネプロを見てのさらに高みに上がるための演出をつけてもらいました。
それは・・・
- 基本的にはとてもいい。
- 新しいことや余計なことはやるな。なぜなら他の人たちへの影響があるから
- ルールがハッキリとわかっていない人がいる。それは明確に
- ダンスの振りや立ち位置がズレているところは再確認
というもの。ほんとみんなを細かく見ていてくれます。
ダメだしというよりも作品をよりよくしていくための愛ある言葉でした。
この時に興味深かったことは、「まぁ、なんとかなるでしょう。」と余裕をあるふりをしてできないことを誤摩化して仲間が、「さぁ!練習しよう!」とやる気満々になったことです。
欲がでてきたことがすごく良かった。
彼は作品の最初の「あらわる」という場面のキーマンだったのです。
僕らのチームのすごいところは、修正が入るとしっかりと受け止めて立て直すことができること。
これは、たっちゃんに感心されたところです。
この時のみんなの集中力もすごかったな。
本番前に、Cコース参加者に関わってきた人たち全員で円陣を組む。
もう僕はここで泣きそうです。
さらに出番前に袖で待っている時にも涙を我慢していました。
猛烈に感動していたんですね。
大人が真剣に遊ぶという行為。それが形になる瞬間。
その刹那に僕が感動する何かがあるんです。
Cコースの作品は演者も観客もずっと集中をしているようなそんな作品。
しかも抽象的で何を観客の想像力をかきたてるようなそんな芸術作品に高まっていました。
後の感想で、外国のこの作品を持っていきたいと言われたくらいに、作品を見たその場では何が起きたのかわからない、後々あれはあぁだったのではないか、う〜ん・・・と記憶に残る作品だったそうです。
はじまった直後からものすごい緊張感がありました。
客席も固唾を飲んでみているのがわかります。
演者と観客の間にある独特な空気感のような関わり方は最高でした。
舞台をやっている人たちは、あぁいう感覚を味わっているのかと、芸術のしっぽくらいはつかめたのかもしれないと思いました。
最初から最後までずっと集中がキレずに終わりました。
たっちゃんやるいるい曰く、奇跡の連続だったと。すごい作品だったと。
やっている僕たちもすごい作品だったとわかるんです。
そんなことってあるのですね。
他者を感じることをワークショップではかなり時間を割いてやったので、観客さえも感じることができるようになったからなのかな。
舞台が終わった直後の写真です。充実感がいっぱいです。
晴れ晴れしい笑顔ですね。
これはアフタートーク。観客と演者が話し合える場って大事ですね。
舞台も双方向であることで豊かさが広がるような気がしています。
そして、振り返りの時間がありました。3ヶ月のワークショップを受けた感想などを語り合ったり。
もう至福の時間でした。
「あぁ、そんなこともあったのな。」
「えっ!そうだったの。」
「そうそう、そうだった。」
進行役のたっちゃんが言った言葉が心に響きました。
「僕は、ここにいる人たちだけでしかできないものを創りたい。」
そうなんだよね。天地人なんですよ。
天とは時代です。今しかできなこと。
地とは場所です。ここパブリックシアターでしかできないこと。
人は人です。集った人でしかできないこと。
これは一種の奇跡です。今この瞬間は今にしか存在しないんです。
次ってもうないんです。今しかないんです。
これって子どもの感覚です。子どもの頃は知っていた。次がないことを。
だからこそ今この瞬間を全力で楽しむのです。
大人になると次があると錯覚をするようになるんです。
もう同じことは決して起きないのに。
今この瞬間を楽しむこと以外に大事なことなんてあるのでしょうか。
で、打ち上げが稽古場であり、その後は三茶で夜の街に消えていく人たちも。
僕らは満足して家に帰り、ゆったりとふたりで語り合いました。
もしかしたら、気づきをあとで、もうちょっと書くかも。
では、寝ます(笑)
参加してくれた仲間たち「いわた都/上田恵子/上田正敏/上本竜平/内田浩美/金田海鶴/齋藤由美子/鹿野恵/たかのっち/ポラン/マイケルちあき/御原由美子/凛音」、進行役の楠原竜也さん、アシスタントの千葉瑠依子さん、全体アドバイザーの成沢富雄さん、世田谷パブリックシアター学芸の恵志美奈子さん、九谷倫恵子さん、福西千砂里さん、そして観にきてくれた人たち。ありがとう。
このブログを読んでくれたあなた。ありがとう!
以上です。
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