友人が長年主催をしているインプロのワークショップに参加してきました。インプロとはImprovisationの略で、即興劇のことなんです。台本がなくて、その場で起きることを受け取ってつなげていく演劇です。
インプロへの興味は、心理セラピーを学んでいる時にロールプレイやサイコドラマを体験したところから始まります。心理療法の源流には演劇があると言われていて、演じることで癒しが起きることがあるのです。フォーカスパーソン、ファミリーコンステレーション、プレイバックシアターなど様々な演劇的なセラピーを体験しました。それでも興味がつきなくて緊急クラウンのワークショップ、ワークショップデザイナー育成プログラム、セタパブの演劇ワークショップなどを受けたりして現在があります。また、個人セッションやワークショップで演劇的な手法を使いながら見えない人間の内面を、外側に表現することで見える化することをしていきました。心理って言動にすべて現れますよね。ある意味でバレバレです。
こうやって過去を振り返ると即興劇に、かなりエネルギーを注いできてますね。
今回のインプロは10年以上前に読んだインプロゲームの著者でありインプロの第一人者の絹川友梨さんワークショップでした。amazonレビューにも書きましたが、ずっと受けてみたかったんです。ですがタイミングが合わず。今回参加できたことがラッキーでした。あーこ、ありがとう。
印象に残ったワークを書き残しておきます。尚、名前は僕が適当につけています。
上・下・右・左
ウン・パッのリズムで手を上・下・右・左にだし、もしも二人が同じ方向を向いちゃったらバンと相手に指を向ける。
「シアトルのボブさん」だっけか?名前のついていないワークからスタート。
これ「あっち向いてホイ」よりも面白い。相手に同調させようとしたり、相手に合わせないようにしたり、色々と試しているととてもエキサイティングなゲームでした。
リズムゲームって緊張するんですよね。リズムから外れないようにしちゃうからかしら。基本、同じリズムから外れたくなっちゃうのです。
鬼ごっこ
鬼を決めて、鬼が誰かをタッチしにいく。鬼にタッチされそうになっている人がつかまる前に誰かの名前を呼ぶと、名前を呼ばれた人が鬼になる。もしくは、誰かの名前を言えないで鬼につかまると鬼になるというゲームも面白かった。
みんなキャーキャーいいながら逃げるんです。いやいや、逃げなくていいだろう。だって誰かの名前を言えばいいんだから。逃げてたらそれ普通の鬼ごっこやん(笑)
もうね、みんな童心に帰ってそんこと関係ありません。鬼の人が名前を叫びまくって近づいてきたり。ナマハゲのようなゾンビのような迫力がありました。
見ているだけで面白い人たちです。
番号回し
「1」と言って誰かを指差し、指をさされた人が「2」と言いながら別の人を指さします。それを20までやります。これ1つの流れだと誰でもできるんです。当たり前ですね。
この流れが2つ、3つと増えていきます。ただし、数字を言って回すのは同じタイミングという制約があります。このリズムが面白かった。誰かに数字を回すために伝わるように意識を集中して伝えます。ただ、これに集中しすぎるとパスを回している時にパスを回されるとまったく受け取れないんです。自分がやることに夢中になっていると、自分へのパスが見えなくなっちゃうんです。与えると受けとるが同時にできない自分を発見しました。集中するというよりも周辺視野のようにボーッと全体に気づいている必要があるのです。これ次のゲームでも同じような体験をしました。
同時に声をだす
これ2つのパターンをやりました。
一つ目は、2チームにわかれて、一つのチームはは例えば「くだもの」の名前を同時に言う。もうひとつのチームはなんと言っていたかを当てるゲームです。これ意外と聞こえないんです。伝わりやすい音声と伝わりずらい音声があるみたい。声質やら音量やら発音やら関係するのでしょうか。集中するのが楽しいです。
もうひとつは、みんなで円になって、3文字とか2文字とか文字数を決めて言葉を同時に発するんです。ゴールはみんな同じ言葉を言うこと。これね、自分が言葉を発すると相手の言葉は全く聞こえないんです。でも、周りの人たちは聞こえているみたい。なぜだと思っていたら、自分の声が大きいと自分の声しか聞こえなくなるそうな。小さくしても聞こえなかったり。僕は話すのと聞くのを同時にするのが苦手みたい。みんなよく聞いているなと感心しました。
これ声の大きい人に人は従ってしまうのがわかるそう。企業研修でやれば誰に従うかの主従関係が浮き彫りになりそうですね。声だけでもわかってしまうことがありそうです。
きっと僕は、聞く時にはむちゃくちゃ集中しているんでしょうね。だからカウンセラーになれるのでしょう。聞くことに集中しないと聞こえないから。怪我の功名というやつでしょうか。聖徳太子でなくていいのです。自分の特性を知っていれば。
相手に言葉を言わす
Aさん、Bさんを決めます。Aさんはお題の言葉、例えば「ダメだよ」をBさんに言わすためにAさんはBさんに言葉をかけていきます。シチュエーションは決まっていてこの時には「居酒屋」でした。この時はBさん役は僕でした。
Aさんが「最近、四又していてさぁ」という言葉に対して僕は「いいね」と肯定的に返しました。まんまカウンセリングです。Aさんはフリーズです。あぁ、きっと否定的な言葉なんだろうと予測をして、「一般的には最低な奴だよねとこの場合言うよね」とか言ったり。だんだんとクイズになってきてしまいました。これだとダメみたいなんです。
いかに自然に「ダメだよ」を言わせるか。即興劇なんで、その言葉を言う場面だったり、関係性だったり、必然性を作っていく必要があるのだそうです。どんな言葉が返ってきたとしても、「イエス・アンド」の精神で受け取って返していく必要があるのです。きっとこれが関係性を作っていくということなのでしょう。
平田オリザの演劇ワークショップ経験者には「旅行ですか?」と同じだよねと同じです。自然と「旅行ですか?」という台詞を言うためにその前の状況だったりやりとりだったりを考えるワークと同じなのです。それを即興劇でやるのだからハードルは一歩高い。
これ自在にできるようになれば劇作家になれるんじゃないかと思ったり。
シーンを作る
最後には2人1組でシーンを作り、それを回していくというもの。みんなで物語を紡いでいくのです。絹川友梨さんの声かけが見事としか言えません。生き生きと物語が展開していくように適切な言葉をなげかけていきます。また役者さんたちも、その言葉に乗って演じていくのです。演出家の仕事は偉大だ。
知らないってなんか面白いのです。自分の知らないことだったりしても、なんとか知っている知識をふくらませて演じてみる。人間が持つ創造性というのでしょうか。何かが生まれているのです。こうやって新しいものが産み出されていくのかという人間の営みを感じました。知らないって最高だなとみなさんのインプロを見ていて思ったのでした。
インプロの感想
気づいたことは2つ。
ひとつは、即興劇ってコメディになりがちだということ。それがダメだというのではなく、嘘は面白いからかもしれません。だって子供の頃のゴッコ遊びは楽しかったから。演じる原点は笑なのかもしれません。だからこそ、人は癒やされるのです。笑っちゃうと心が変わっちゃいますから。
もうひとつは、インプロはブリースリーの名言「Don’t thik, feel」(考えるな感じろ)ならぬ「Don’t thik, just do it」(考えずに動け!)だと思っていたのです。反応力勝負みたいなものだと思っていました。
ところが今回思ったのは、考える必要があるんだということ。身体は柔軟に受け取りながら頭はフル回転みたいな。ただ考えいるだけだと自分の内側にこもってしまうので考えるだけではダメ。身体だけ反応しているだけだと周りの言いなりになってしまう。誰かにコントロールされっぱなしになってしまう。若者たちのイワシ化しているとも言われているから。イワシ化とは群れの動きを感じとり反応することです。つまり集団の空気を読んで動くということ。
同調圧力が強い日本で、自分を表現するってチャレンジなのかもしれません。起業とかも同じなんだけど、自分から世の中になげかけることって大事なことなんですね。主体的になれる訓練にもなる可能性をインプロに感じました。
アフター
午前中にワークを終えて、ランチを有志でご一緒に。あーでもない、こーでもないと振り返える時間があって自分の内面を言葉にする時間を持てました。他の人の視点も聞けるのも学びでした。
ランチは「ザ・トリフターズ」というオシャレな鳥専門店で。ここのBGMはなぜか昭和や平成の懐かしい歌謡曲。ドリフターズを意識してでしょうか。話題も若々しい感じに。昔の歌は記憶の扉をあけますね。
コーヒーが飲みたい人は、さらにこの後にコメダへ。ここでは健康の話だったり、成熟した大人の話がでたりも。落ち着いた雰囲気ですからねコメダ。
場所が変わると話題が変わる。つまり舞台設定って潜在意識に大きな影響を与えているな思ったりするのです。
僕がやっている自然の中のハンモックフルネスも、舞台設定をアウトドアにすることで自分の内面にどんな変化が起きるのかを楽しむ要素もあります。舞台だけ整えてあとは起きるに任せるみたいな。そう考えるとインプロ要素が満載ですね。
これから環境から受ける影響を、もっと意識しても面白いなと思ったのでした。
インプロは、学びの宝庫でした。参加者の皆様、講師の絹川友梨さん、オーガナイザーの桂 麻子さん、ありがとうございました。
人と人が出会うことそのものが学びですね。また参加しよう。
■フリースタイル・コンテンツ紹介
■個人セッション
感情を入り口に潜在意識から様々な問題を解決し、人生の目的に気づいていきます。
https://www.yoriyoku.com/
■ハンモックフルネス
日々ゴキゲンでいるために自然の中で心身を整えるイベント。
https://www.hammockfullness.com
■ソースワークショップ
自分が持つ「好き」を見つけて、それを仕事、伴侶、趣味に応用し、自分らしくなるためのワークショップ。
https://www.asobilife.com